序文
医学生であった頃、眼科は苦手な科目だった。その原因の一つは成書には疾患につ
いて似通った所見が羅列されていたため、イメージが涌かず、混乱して、知識が身に
つかなかったことによる。しかし、ひょんなことから眼科医になり、実際に患者さん
の眼を診るようになると、所見は特徴的であり、「見る」ことによってたやすく理解
でき、整理して、記憶できた。「学生のときに、眼疾患の写真集があればよかったの
に」と思った。
そういう思いがあったことから、月刊『junior』から「画像でみる眼疾患」の企画
と編集の依頼をいただいたとき、二つ返事で承諾した。さらに、「月刊誌で連載した
内容を改編、加筆し単行本に」と再度の申し出があったときには、「我が意を得た
り!」と思った。
本書では疾患別に特徴的な写真が掲載され、疾患についてのアウトラインが解説さ
れている。写真はいずれも鮮明で、特徴的所見がよく出ている。解説の内容も大変わ
かりやすくまとまっていて、ポイントを押さえてある。眼科疾患を理解する上で、有
用であると自負している。
医学生、臨床研修医、入局間もない眼科医の方々に是非、“見ていただければ”と思
う。
2005年5月
湯沢美都子