監修: | 吉川純一(大阪掖済会病院院長) |
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編著: | 穂積健之(大阪市立大学大学院循環器病態内科学講師) |
判型: | B5判 |
頁数: | 128頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2007年05月31日 |
ISBN: | 978-4-7849-5170-3 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
月刊juniorの好評連載に書き下ろしを加え、待望の単行本化!実際の症例カンファランスを疑似体験でき、どのように疾患を絞り込み、次の検査をオーダーしていくかがわかります。病歴や身体所見のとり方・検討過程もていねいに解説しているため、特に初学者に最適です。150点以上の図表・写真を収載し、心電図、胸部X線写真、心エコー図の読み方も平易に解説しています。"
【総論】
はじめに
病歴からの検討
身体所見からの検討
心電図・胸部単純X線写真からの検討
心エコー図検査からの検討
他の検査法での検討
【ケースカンファランス】
「CASE 1」53歳、男性。労作時の息切れを主訴とする症例
「CASE 2」45歳、女性。労作時の動悸を主訴とする症例
「CASE 3」51歳、男性。発熱を主訴とする症例
「CASE 4」25歳、男性。動悸と眼前暗黒感を主訴とする症例
「CASE 5」37歳、女性。めまい、失神、労作時の息切れを主訴とする症例
「CASE 6」65歳、男性。突然の胸痛を主訴とする症例
「CASE 7」52歳、男性。倦怠感と労作時の呼吸困難感を主訴とする症例
「CASE 8」68歳、男性。倦怠感を主訴とし、心拡大を呈した症例
「CASE 9」29歳、男性。突然の意識消失を主訴とする症例
「CASE 10」78歳、女性。労作時呼吸困難を主訴とする症例
「CASE 11」55歳、女性。浮腫を主訴とする症例
「CASE 12」79歳、男性。透析中に血圧低下を来し心雑音を認めた症例
「CASE 13」64歳、男性。胸部絞扼感を主訴とする症例
「CASE 14」60歳、男性。突然の胸背部痛を主訴とする症例
「CASE 15」32歳、女性。発熱、全身倦怠感を主訴とする症例
INDEX
循環器の世界には「心電図屋さん」とか、「カテ屋さん」とか、「心エコー屋さん」とかいう名称で呼ばれる専門集団がいます.その他、「核医学屋さん」もいるし、最近元気なのは「不整脈屋さん」でしょうか.少し馬鹿にしたような呼び方ですが、呼ばれている先生方の多くはあまり気にしていません.ただ、問題なのは「カテ屋さん」や「心電図屋さん」などの多くは身体所見や心エコー図に興味を示さないことでしょうか.
このテキストの著者たちは、上記の概念でいえば「心エコー屋さん」に相当しますが、心エコー図にこだわっているわけではありません.ほぼすべての症例で病歴を大切に扱っていますし、同時に詳しくて現実的な身体所見をそれぞれの診断のゴールドスタンダードとして利用しています.これほど身体所見が大切に扱われている著書を最近みたことはありません.私たち日本人医師が長い間、身体所見を軽視してきたことを思い起こさせ反省を促しているように思えます.それだけでも本書は一読の価値があります.
本書では診断過程でルーチンの胸部X線や心電図がしっかりと利用され、必要とあらばCTやMRI、血管造影が施行されています.さらなるこのテキストの特徴は、何といっても心エコー図を実に巧みに診断の主力に置いていることです.彼らは、日常の臨床経験から心エコー図が最も重要な診断手技であることを実体験しています.その意味では、「心エコー屋さん」のイメージに近いものがあろうかと思いますが、彼らは心臓カテーテルや心電図読影の経験も豊富で、何でもこなせるオールラウンドの臨床医です.
私は日頃から「心エコー図は臨床そのものである」と考えております.また、症例1例
1例を学習することが、臨床医学を学ぶ王道であると考えています.このテキストでそれぞれの症例から、問診や身体所見の重要性に加えて心エコー図の臨床的意義を学び取って頂ければ幸せに思います.
2007年4月
吉川 純一