著: | 井上清成(医療法務弁護士グループ代表) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 304頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2009年10月20日 |
ISBN: | 978-4-7849-5434-6 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
病院法務部の新米担当員末成君とベテラン顧問弁護士森山が、オチャノミズ病院に次々と降りかかる難題に挑戦!未収医療費、故なきクレーム、暴言・暴力……泣き寝入りせず、毅然とした態度で臨むべきケースとその具体的方策を伝授します。また、医療過誤訴訟、刑事告訴、調停・ADR、異状死届出……医療機関を取り巻く様々な課題・問題を取り上げ、知っておくべきポイントをわかりやすく解説しています。
医療界に対し、長らく逆風が続いています。その筆頭は、医療費抑制政策と医療事故責任追及政策でしょう。ただ、医療費抑制政策については、緩和もしくは転換の兆しが見えてきました。しかしながら、医療事故責任追及政策はまだまだです。
医療事故責任追及政策は、言い換えれば、刑法・民法といった医療と関係のない法律が医療に介入してきたことと言ってよいでしょう。一般法による医療への介入とも称せると思います。
医療の長い歴史の上で、業務上過失致死傷罪といった刑法や、不法行為・債務不履行といった民法が、本格的に医療に介入したことはありませんでした。ここ十数年の医療事故を巡る混迷は、それこそ医療の歴史上、初めての出来事と言っても過言ではありません。
当然、医療の現場は混乱してしまいます。だからといって、公共的な性質を持つ医療は中断できません。そこで、大局的・政策的なことは医療界全体での十分な論議にゆだね、当面の現場対応の具体的方策に焦点を当てました。当面の現場での対応ノウハウを提示し、多少なりとも現場の混乱を緩和できたら、という思いで、本書を著した次第です。
医療現場での苦情・クレームへの現実の対応などに、お役に立てれば幸いです。
本書は週刊「日本医事新報」誌に連載した「病院法務部奮闘日誌」と「法律用語の基礎知識」をもとにしたものです。ご協力いただいた編集部の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。
2009年9月
井上清成