厚生労働省は6日、「現時点において、MR(乾燥弱毒生麻疹風疹混合)ワクチンの全国的な不足は生じない見込み」と発表した。同省は先月にも同様の見解を示しているが、今回は最新の需給情報を踏まえ、同省の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会に報告した。
厚労省が示したのは5月18日時点の状況。それによると、5月1~18日の医療機関の納入量実績は約46万本。前年5月比で約210%増加していたが、18日時点で流通過程上に存在すると考えられる在庫量は約46万本で、その後も追加のワクチン供給がなされる見込みとした。
6月以降の需給見込みについても改めて提示。6月の医療機関への納入量見込みが約20万本、在庫量と出荷量の和は約120万本、7月の医療機関への納入量見込みは約20万本、在庫量と出荷量の和は約130万本、8月の医療機関への納入量見込みは約20万本、在庫量と出荷量の和は約120万本とした。
厚生労働省は需要の見通しについて「例年の需要水準で推定しているが、需要が伸びても対応できる体力があるとみている」(健康局予防接種室)と分析している。
同日の部会では福島県、兵庫県、熊本県に対し、ワクチンの需要が増した際の対応や課題についてヒアリングを実施。納品状況などの実態の把握と関係者との連携強化により、現場の不足感を解消した経験などが披露された。
ヒアリングではこのほか、ワクチンの取引がメーカーと卸売業者、医療機関の民間同士のため、行政が過度に介入することが困難であることも指摘された。医療現場にワクチンの不足感が生じる要因について兵庫県の担当者は「1つには偏在がある。特定の医療機関がワクチンを多く購入することがあるのは事実で、行政としては対応に苦慮する。国全体としてワクチンが不足していなくても、そこにギャップが生まれる」と話し、日頃の取引関係がワクチンの需要が増した時の取引量にも影響を及ぼす可能性を指摘。その上で「行政がどこまで介入できるのか課題がある」との認識を示した。