Bを選びます。高齢者では加齢とともにあらゆる臓器,器官の機能が低下しており,したがってプロトンポンプ阻害薬(PPI)を倍量,それに通常量から倍量の抗菌薬を2種類,これらを1週間内服するヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)の三剤併用療法は,当然高い副作用の発現が危惧されます。通常,リスクを考慮して高齢者では除菌療法を実施しませんが,疾患や症状によっては除菌を適用することも必要だと考えます。
2017年1月,日本老年学会・日本老年医学会より「75歳以上を高齢者」とする提言が発表されたが,75歳以上でも多くの元気な方を診療している印象から,本稿では85歳以上のいわゆる超高齢者を対象にヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:H. pylori)除菌適応を論じたい。
現在は,未曾有の高齢化社会となりH. pylori除菌を考慮する超高齢症例も増加している。「何歳まで除菌するのか?」については,臨床上の大きな論点である。
胃の感染症だから高齢者でも積極的に治療すべきか,あるいは,何も症状のない単なる胃炎ではリスクを考慮して除菌すべきでないのか,悩ましい問題である。
H. pylori除菌の保険適用に「高齢者」という年齢制限はない。各専門学会のホームページやガイドラインにも何歳まで除菌を行えるといった記載は見当たらない。医学中央雑誌の検索でも,高齢者の除菌療法については単施設内の経験といった内容のみである。そこで本稿では,筆者の20年にわたるH. pylori除菌の経験から,「高齢者では,除菌の目的によってその適用を決める」とする見解を述べたい。