編: | 正岡建洋(国際医療福祉大学医学部消化器内科学教授) |
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判型: | B5変型判 |
頁数: | 240頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2022年10月27日 |
ISBN: | 978-4-7849-4894-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | 電子版付 |
1章 上部消化管治療薬
1 カリウムイオン競合型アシッドブロッカー
2 プロトンポンプ阻害薬
3 ヒスタミンH2受容体拮抗薬
4 Helicobacter pylori除菌薬
5 機能性ディスペプシア治療薬
6 制酸薬、アルギン酸塩
7 食道運動異常治療薬
8 プロスタグランジン製剤および粘膜防御因子増強薬
9 慢性症状に対する消化管運動賦活薬
10 急性症状に対する消化管運動賦活薬
11 消化管運動抑制薬
12 上部消化管症状に対する漢方薬
2章 下部消化管治療薬
1 ポリカルボフィルカルシウム
2 セロトニン受容体拮抗薬
3 止瀉薬
4 浸透圧性下剤
5 刺激性下剤
6 上皮機能変容薬
7 胆汁酸トランスポーター阻害薬
8 オピオイド受容体作用薬
9 プロバイオティクス
10 炎症性腸疾患に対する5-ASA製剤
11 炎症性腸疾患に対する免疫調節薬・免疫抑制薬
12 経口ステロイド
13 抗菌薬
14 下部消化管症状に対する漢方薬
3章 悪性疾患治療薬
1 経口抗腫瘍薬(消化管領域)
序文
消化管診療では腹腔内臓器である胃,十二指腸,小腸,結腸に加えて胸腔内臓器である食道,骨盤内臓器である直腸といった多くの臓器が対象になります。新たな医学的知見が報告され,それに伴い医療も変化してまいります。多くの臓器を対象とする消化管診療も時々刻々,変化しており,医療者はそれをリアルタイムに習得していかなくてはなりません。
近年の消化管診療の特色のひとつとして,良性疾患・悪性疾患の双方において入院診療ではなく,外来診療で対処可能な疾患が増えたことや,高齢化社会を背景とした入院診療における在院日数短縮の社会的必要性の高まりも相まって,外来診療の比重が増していることが挙げられます。
入院を必要とせず,外来受診で治療が行われることは患者さん自身,ひいては医療経済的な負担の軽減につながり,一見,望ましいことのように思われます。しかしながら,外来診療では限られた診療時間で患者さんの近況をインプットし,アウトプットとして診断,治療を行わなくてはなりません。医療安全への配慮を含めた正確な診断や,質が高く適切な治療,そして患者さんが満足する接遇のすべてを限られた外来診療の時間で提供することを皆様は常日頃から心掛けられていることと存じますが,容易ではありません。
上記の背景をもとに本書を構想いたしました。本書では薬剤の種類ごとにその作用機序,処方の仕方,その根拠となるエビデンスを各項の担当者にご執筆いただきました。手前味噌になりますが,どの項も執筆者の皆様の熱のこもった充実した内容になっています。改めて,ご多忙のところ,執筆の労を担っていただいた皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。
本書が書架ではなく診療現場に置かれ,消化管診療に従事される医師は勿論のこと,看護師や薬剤師といったパラメディカルの皆様にも活用していただき,本邦の消化管診療の質の向上,医療者の負担軽減のお役に立つことを願っております。
国際医療福祉大学医学部消化器内科学教授
正岡建洋