日本老年医学会は14日、高齢者医療の様々な課題に対応するために「健康長寿達成を支える老年医学推進5か年計画」を始動すると発表した。高齢者医療に関するガイドライン作成や、実地医家向けの認定医制度を設立する方針などが盛り込まれた。
同学会は計画作成の目的について「国民皆保険の危機や貧困高齢者の激増など多くの複雑な社会的課題に対し、学会として具体的にどう対応をするのかを明確にするため」としている。
計画では、①老年医学・高齢者医療の普及・啓発、②フレイル予防・対策による健康長寿の達成、③認知症への効果的な早期介入と社会的施策の推進、④高齢者の定義に関する研究の推進と国民的議論の喚起、⑤基礎老化研究の育成・支援―の5つのテーマを設定。各テーマについて現状を分析し、具体的な活動計画を示した。
■在宅医療介護ガイドラインを2018年度中に公表
このうち、①老年医学・高齢者医療の普及・啓発に関しては、在宅医療を推進するため「在宅医療介護ガイドライン」を2018年度中に公表する。ガイドラインに関してはこのほか、他学会と共同して「高齢者誤嚥性肺炎診療ガイドライン」「高齢者透析診療ガイドライン」「転倒、尿失禁などの老年症候群に関するガイドライン」の作成を目指すとした。
また、今年から非老年病専門医を対象とした認定医制度を開始することも明記。まずは「老人保健施設管理認定医」「高齢者栄養療法認定医」の認定資格を設立し、今後、実地医家を対象とした「高齢者地域包括診療認定医」(仮称)を設立するとした。認定にあたっては、研修受講、症例提示、習熟度確認テストを実施するという。
②フレイル予防・対策については、かかりつけ医が通常診療内で実施可能な簡易フレイルスクリーニングツールを開発するとしている。
計画は学会のホームページに掲載されている(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/about/pdf/5year_plan_01.pdf)