働き方改革関連法が6月29日の参院本会議で成立した。医師への時間外労働上限規制の適用は2024年4月からとなる。
28日の参院厚生労働委員会では同法に対する附帯決議が可決された。医師に関しては「適用猶予期間においても時間外労働時間の削減に向けた実効性ある取組を関係省庁および関係団体等の連携・協力を強化しつつ、推し進める」と要請。さらに、医師の働き方改革の議論について「応召義務等の特殊性を踏まえ、長時間労働等の勤務実態を十分考慮しつつ、地域における医療提供体制全体の在り方や医師一人一人の健康確保に関する視点を大切にしながら検討を進める」と求めた。
働き方改革関連法は、労働基準法を改正し、労使協定(36協定)の締結で可能となる時間外労働の上限を「月45時間、年360時間」、繁忙期の特例でも「年720時間」と定めるもの。施行は原則2019年4月としつつ、中小企業には20年4月に適用。医師、自動車運転業、建設業については、業務の特殊性に配慮し、法施行5年後に適用する。
産業医に関しては、労働安全衛生法を改正し、過労死等の高リスク状況にある労働者の見逃しを防ぐため、長時間労働者への関与を強める。現行では、事業主による労働時間の把握はガイドラインの記載にとどまっているが、法律上の規定とする。事業主から産業医への長時間労働者の情報提供についても省令から法律へ格上げして義務づける。産業医面接の対象となる時間外労働の基準も「月100時間超」から「月80時間超」に強化する。
このほか、一部の医療機関を含む中小企業における時間外労働について、月60時間超の割増賃金率を2023年4月から50%以上とすることを義務化する。