厚生労働省が今年2月に周知した医師の労働時間短縮に向けた「緊急的な取組」を実施した病院は約3割であることが病院団体の調査により明らかとなった。調査結果は9日の厚労省「医師の働き方改革に関する検討会」で公表された。
「緊急的な取組」は、医師を雇用する全ての医療機関に対し、①医師の労働時間管理の適正化、②36協定等の自己点検、③産業保健の仕組みの活用、④タスク・シフティング(業務移管)の推進、⑤女性医師等の支援、⑥医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組―の6項目の実施を求めたもの。
調査は5月28日~6月11日に、全国の病院管理者(全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、全国自治体病院協議会の会員病院等)を対象に実施。民間病院・国公立病院は1071件、大学病院は122件の回答を得た。
「緊急的な取組」の実施状況を聞いたところ、民間病院・国公立病院は「実施した」が26.8%、「今後実施予定」が33.7%、「未定」が37.5%。大学病院は「実施した」が30.3%、「今後実施予定」が55.7%、「未定」が13.9%で、いずれも実施した病院は3割程度だった。 調査では、緊急的な取組の6項目の実施状況も調査。従前より導入している病院を除いて集計した。
このうち、医師の労働時間短縮に向けた取組の実施状況を見ると、最も多いのは「当直明けの勤務負担の緩和」。民間病院・国公立病院では「実施開始」4.1%、「実施予定・検討中」46.4%となり、合わせて5割が実施または実施を検討していた。大学病院では「実施開始」が0.0%だったものの、「実施予定・検討中」は71.3%に上った。
なお、厚労省は「緊急的な取組」の実施状況について、今年10月頃に全病院を対象に調査を行う予定。