内科系学会社会保険連合(内保連)は24日、2018年度診療報酬改定の総括をテーマに都内で開催したシンポジウムで、次期改定に向けた課題の1つとして「注射処方料」の新設を挙げた。
内保連の小林弘祐理事長は18年度改定に向けて、もの偏重の診療報酬体系から技術重視への転換を目指して、厚労省に10項目の重点提案をしたことを報告。
具体的には、①内科系高度急性期医療を評価するために、一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」のC項目に「特定内科診療」を追加、②「説明と同意」を評価し、「指導管理料」の増設、③内科系治療の基本である薬物療法における処方技術を評価するため、「注射処方料」ゼロの是正、④医療安全の立場から血液採取料評価の見直し、⑤医療安全の立場から内視鏡消毒料の新設と技術評価の見直し、⑥標準的手順が省かれ医療費を増加させている生体検査の見直し、⑦チーム医療の推進と医師負担の軽減、⑧医療連携と在宅医療の推進、⑨妊娠・周産期・小児医療の重視、⑩遠隔医療の推進―を挙げた。
このうち要望通り評価されたのは④⑥⑩で、血液採取料と連続呼気ガス分析加算が増点となり、遠隔医療では遠隔病理診断などが新設された。 一方、一部評価に留まったのは②⑦⑧⑨、評価されなかったのは①③⑤だった。
小林氏は改定全体として「65~70点の状況で一応は納得している」と評価。次期改定に向けた課題の1つとしては「注射処方料」の新設を挙げ、「注射を考えるのは内科の根幹の技術」と強調。高額医薬品導入によって、モノと技術の不均衡はさらに拡大する中で、注射技術に処方の評価がないことを問題視し、「(次期改定に向けて)強力に要望していきたい」と強調した。
同日のシンポジウムでは、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)の瀬戸泰之実務委員長も2018年度改定について報告し、「概ね満足できる内容」と評価した。ただ、厚労省に要望した項目のうち「手術・処置の休日・時間外・深夜加算の施設基準の緩和」は採用されなかったため、「非常に残念」と吐露した。
同加算は、予定手術前の当直を免除する取組を評価するもので、16年度改定で「毎日の当直医が6人以上」と基準が緩和されたが、外保連の調査によると算定病院は微増にとどまり「大学病院のような大病院しかとれない」「地方公立病院では厳しい」との意見が出ていた。
外保連の岩中督会長は同加算について医師の働き方改革に関連して言及。「厚労省は施設基準を緩和する気がないが、一方で、病院には労基署の査察が次から次へと入っている」と問題視し、「今後、働き方改革の中で(この加算が)どう評価されていくのかみていきたい」と述べた。