【質問者】
森 潔 静岡県立総合病院腎臓研究科部長
蛋白尿がある慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者ではレニン・アンジオテンシン系阻害薬(RA系阻害薬)による腎機能低下抑制作用が,複数の大規模臨床試験で示されています。一方,蛋白尿の陰性の糖尿病非合併CKDでは,血圧をきちんと下げれば,降圧薬の種類によらず腎保護効果が得られることがわかっており,RA系阻害薬の優位性は証明されていません。
合計11の無作為化比較試験を対象としたメタ解析でも,蛋白尿が1日500mg未満の患者においては,RA系阻害薬の優位性はなかった,と報告されています1)。高リスク高血圧患者を対象としてRA系阻害薬,Ca拮抗薬,サイアザイド系利尿薬の効果を比較した介入試験であるALLHAT研究の長期解析でも,心血管死亡,脳卒中,末期腎不全などの抑制効果は異なった種類の降圧薬の間で同等であったとされています2)。
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