【先天性心疾患に対する血管形成術,弁形成術,閉鎖・塞栓術】
小児カテーテル治療の主たる対象は先天性心疾患であり,わが国の実施件数は年間約4000件を超えると報告されている。術後遺残病変に対する治療など,外科治療を補完する治療が多いが,一部の疾患ではカテーテル治療のみで治療が完結する。最近では血管造影装置が入った手術室内で,外科治療とカテーテル治療を協働して行うハイブリッド治療も行われるようになった1)。
先天性心疾患におけるカテーテル治療は,血管形成術,弁形成術,閉鎖・塞栓術,不整脈治療に大きくわけられる。血管形成術はバルーンカテーテルによる拡張術が主であるが,拡張が一過性で無効の場合はステント留置が行われる。国内で使用できる大口径バルーンやステントが少ないことが問題である。弁形成術は肺動脈弁狭窄が主な対象であるが,肺動脈弁閉鎖症に対してもガイドワイヤー穿通後に弁形成が行われる。大動脈弁狭窄に対するバルーン形成術は遠隔期での閉鎖不全が問題であり,外科手術の有用性が再認識されている。閉鎖・塞栓術は,心房中隔欠損症や動脈管開存症に対して専用の閉鎖栓を用いて行われ,細い動脈管はコイルによる閉鎖が行われる。側副血管など不要な血管に対する塞栓術は複数個のコイルを用いて行われるが,近年,血管閉塞用vascular plugも使用可能となり,太い血管も容易に閉鎖できるようになった。
【文献】
1) 日本小児循環器学会・日本Pediatric Interventional Cardiology学会「先天性および小児期発症心疾患に対するカテーテル治療の適応ガイドライン作成委員会」:日小児循環器会誌. 2012;28(Suppl 2):s1-40.
【解説】
桃井伸緒 福島県立医科大学小児科教授