国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は8月31日、2016年度の社会保障給付費が前年度比1.3%増の116兆9027億円で、過去最高を更新したと発表した。
2016年度の給付費を部門別にみると、「年金」が54兆3770億円(対前年度0.5%増)と最も多く、「医療」は38兆3965億円(同0.6%増)、「福祉その他」が24兆1291億円(同4.2%増)となっている。
医療の伸び率は、前回(2014→15年度)の3.8%に比べて大きく縮小した。社人研は、16年度診療報酬改定で、C型肝炎治療薬「ハーボニー」などの高額薬剤の薬価が引き下げられ、薬剤料が大幅に減少した影響と分析している。また、「福祉その他」のうち介護対策の伸び率は2.1%で、2001年の介護保険制度導入以降で最低の伸び率となった。介護認定率の伸びが低かった影響とみられる。年金も1965年以降で3番目に低い伸びとなった。
社会保障財源となる収入(社会保険料、公費負担など)の総額は134兆9177億円で、前年度から11兆1093億円(9.0%)増えた。年金積立金の運用実績が良好で、資産収入が大きく伸びた。