(千葉県 K)
【300mg/日の継続により結石イベントを抑制】
胆囊結石の治療としてのUDCAを用いた経口胆石溶解療法の適応条件は,①純コレステロール石であり,②胆囊収縮能が温存されていることです。適応の検討は,結石成分については,腹部超音波での観察あるいは単純CTでの結石描出の有無によって判断します。また,胆囊収縮能は,以前は点滴静注胆道造影(drip infusion cholangiography:DIC)時にCCKアナログを投与することで胆囊収縮能の評価が可能でしたが,同剤の発売中止によって正確な評価が難しくなっています。よって,溶解療法の適応を厳格に判断しにくいこともあり,治療期間を限って溶解を試みる症例も多くあります。
さて,溶解療法不成功例でのウルソデオキシコール投与継続についてのご質問ですが,無症状胆石症例において,胆石による症状発現率は5年間の観察でおおむね20%であり,年率は2~4%であると報告1)2)されています。しかしながら,経過観察を行う上で,UDCA 300mg/日を投与することにより,20%の症状発現率が10%に低下したと報告3)されています。
溶解目的ではUDCA 600mg/日を投与しますが,経過観察する上での症状発現の軽減を目的とするならば,UDCA 300mg/日の投与を継続することで,結石によるイベントを抑制する効果が期待できると考えます。
【文献】
1) Ransohoff DF, et al:Ann Intern Med. 1993;119 (7 Pt 1):606-19.
2) Halldestam I, et al:Br J Surg. 2004;91(6):734-8.
3) Tomida S, et al:Hepatology. 1999;30(1):6-13.
【回答者】
大屋敏秀 中国労災病院消化器内科部長/副院長