株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

ウルソデオキシコール酸により溶解しない胆石への対処法は?

No.4926 (2018年09月22日発行) P.60

大屋敏秀 (中国労災病院消化器内科部長/副院長)

登録日: 2018-09-23

最終更新日: 2018-09-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

胆囊結石に対してウルソデオキシコール酸(UDCA)を投与しても,結石の溶解がみられないことがよくありますが,その場合でも継続により胆囊炎などの発症抑制効果やその他のメリットを期待することができるのでしょうか。

(千葉県 K)


【回答】

【300mg/日の継続により結石イベントを抑制】

胆囊結石の治療としてのUDCAを用いた経口胆石溶解療法の適応条件は,①純コレステロール石であり,②胆囊収縮能が温存されていることです。適応の検討は,結石成分については,腹部超音波での観察あるいは単純CTでの結石描出の有無によって判断します。また,胆囊収縮能は,以前は点滴静注胆道造影(drip infusion cholangiography:DIC)時にCCKアナログを投与することで胆囊収縮能の評価が可能でしたが,同剤の発売中止によって正確な評価が難しくなっています。よって,溶解療法の適応を厳格に判断しにくいこともあり,治療期間を限って溶解を試みる症例も多くあります。

さて,溶解療法不成功例でのウルソデオキシコール投与継続についてのご質問ですが,無症状胆石症例において,胆石による症状発現率は5年間の観察でおおむね20%であり,年率は2~4%であると報告1)2)されています。しかしながら,経過観察を行う上で,UDCA 300mg/日を投与することにより,20%の症状発現率が10%に低下したと報告3)されています。

溶解目的ではUDCA 600mg/日を投与しますが,経過観察する上での症状発現の軽減を目的とするならば,UDCA 300mg/日の投与を継続することで,結石によるイベントを抑制する効果が期待できると考えます。

【文献】

1) Ransohoff DF, et al:Ann Intern Med. 1993;119 (7 Pt 1):606-19.

2) Halldestam I, et al:Br J Surg. 2004;91(6):734-8.

3) Tomida S, et al:Hepatology. 1999;30(1):6-13.

【回答者】

大屋敏秀 中国労災病院消化器内科部長/副院長

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top