非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は,あらゆる科で処方される機会の多い薬剤であるが,副作用が多いことを認識すべきである
NSAIDsを処方する場合には,腎機能について評価し,投与後も定期的なモニタリングが必要である。処方する場合はできるだけ短期間にとどめることが望ましい
高齢者では,多くの疾患を抱え,治療を受けているため,併用薬によってはNSAIDsの副作用が出やすいため注意を要する
高齢者や腎機能が十分でない患者には,解熱鎮痛目的であればNSAIDsより抗炎症作用は乏しいが,アセトアミノフェンをうまく使用すべきである
薬剤性腎障害とは「薬剤の投与により,新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義されている1)。発症機序に基づき,①中毒性腎障害,②アレルギー機序による急性間質性腎炎(過敏性腎障害),③薬剤による電解質異常,腎血流量減少などを介した間接毒性,④薬剤による結晶形成,結石形成による尿路閉塞性腎障害に分類される。薬剤性腎障害を腎の障害部位に基づいて分類すると①薬剤性糸球体障害,②薬剤性尿細管障害,③薬剤性腎間質障害,④薬剤性腎血管障害となる2)。
薬剤性腎障害は年齢とともに発症頻度が増える。腎臓専門医のいる施設では,入院患者数の約1%を占め,原因薬剤としては,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti- inflammatory drugs:NSAIDs)によるものが最も多く(25.1%),以下,抗腫瘍薬(18.0%),抗菌薬(17.5%),造影剤(5.7%)と続く1)。