【酒に弱い人は脂肪肝になりやすい】
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は,主に肥満,メタボリックシンドロームを背景として,肝臓に脂肪沈着を生じて発生し,重症化すると非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH),肝硬変を経て肝細胞癌の原因となりうる注意すべき病態である。
一方,遺伝子多型とは,様々な疾患への罹患しやすさなど「遺伝する個性」であり,近年の急速な技術の進歩により,NAFLDを含め多くの疾患について関連する遺伝子多型が報告されている。最近,アルコールの代謝に関わるアルデヒド脱水素酵素2(aldehyde dehydrogenase 2:ALDH2)の遺伝子多型が,アルコール性脂肪肝のみならず,NAFLDの発症にも関与することが報告された1)。ALDH2の低活性遺伝子型の人は,酒を飲むと赤くなる,いわゆるフラッシャーであり日本人に多く,日本人NAFLD患者の網羅的遺伝子関連解析(genome wide association study:GWAS)で抽出されたPNPLA3同様,わが国における重要な遺伝子多型と考えられる2)。
酒に弱いNAFLD患者は,より厳格な生活習慣等の改善が必要と考えられる。
【文献】
1) Oniki K, et al:Nutr Diabetes. 2016;6:e210.
2) Kawaguchi T, et al:PLoS One. 2012;7(6):e38322.
【解説】
渡邊丈久,佐々木 裕* 熊本大学消化器内科 *教授