2017年版ガイドラインではCQのエビデンスを再検討し,推奨度,推奨文を改訂し,新たに6つのCQを設けた
男性型脱毛症に対する推奨度Aの「行うよう強く勧める」治療法は,フィナステリド内服,デュタステリド内服,5% minoxidil外用である
女性型脱毛症に対する推奨度Aの治療法は,1% minoxidil外用のみである
女性型脱毛症に対するフィナステリド内服やデュタステリド内服は禁忌である
人工毛植毛術,minoxidil内服は行うべきではない
2010年に日本皮膚科学会から発表された「男性型脱毛症診療ガイドライン」は,科学的根拠に基づいて医師,患者の双方に標準的治療法を提示し,わが国における男性型脱毛症の診療水準を向上させる上で大きな役割を果たした1)。
しかし,「女性の男性型脱毛症」に対する概念の変化,既存の治療法に対する新たなエビデンスの蓄積,新しい治療薬や治療法の登場により,現状にそぐわない点も出てきた。そこで,「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会」により改訂作業が行われた。2017年版のガイドラインでは,2010年版のClinical Question(CQ)のエビデンスが再検討され,推奨度,推奨文が改訂された。また,わが国未承認の新しい治療薬や治療手段を含む6つのCQが新たに設けられた(表1)2)。本特集では,推奨度Aの「行うよう強く勧める」と推奨度Dの「行うべきではない」を中心に,新しい「男性型脱毛症および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」のポイントを解説する。