厚生労働省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」(座長=遠藤弘良聖路加国際大大学院公衆衛生学研究科長)は14日に初会合を開いた。外国人受け入れ体制が整っていない医療機関向けのマニュアルや外国人観光客の受け入れ拠点病院を2019年度中にも公表する方針。
同検討会では、①医療機関の整備指針、②医療機関向けマニュアル、都道府県向けマニュアル、③自由診療における診療価格の設定方法、④医療通訳者の養成・確保・配置―などについて18年度中に対応を整理する。
医療機関向けマニュアルは現在、厚労省研究班で策定が進められており、同日の検討会で研究班の分担研究者である八木洋氏(慶大)が概要を説明した。マニュアルには必要な体制整備、外国人患者対応のフロー・場面別のポイント、想定されるトラブル対応などを盛り込むという。これについて小林米幸構成員(AMDA国際医療情報センター)は、「院内研修は非常に大事」と強調。医師が抗生剤の処方日数やジェネリック医薬品の使い方、検査をどこまで行うかを考えながら診療することで、医療費が多額となり未納になる事態は避けられるとした。
外国人観光客の受け入れ拠点病院については各都道府県で、重症例を受け入れ可能な医療機関を選定する。併せて、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの開催地を含む医療圏、訪日外国人観光客の多い医療圏、在留外国人が多い医療圏では、軽症例を受け入れ可能な医療機関も選定する。いずれも多言語対応ができることを要件とする。
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