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ドナーの安全性とレシピエントの成績向上を考慮した生体肝移植strategy

No.4939 (2018年12月22日発行) P.57

海道利実 (京都大学肝胆膵・移植外科准教授)

登録日: 2018-12-21

最終更新日: 2018-12-17

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【左葉グラフト第一選択,グラフト体重比(GRWR)下限の低下,門脈圧制御からなる生体肝移植strategy】

生体肝移植はドナーの安全性が最優先であるが,レシピエントの成績ももちろん重要である。そこで筆者らは,その両者を満たすべく,①左葉グラフト第一選択,②グラフト体重比(GRWR)下限の低下,③門脈圧制御,の3項目からなる生体肝移植strategyを考案した。

ドナーの安全性の観点からは,術後合併症が少なく1),残肝容積の大きい左葉グラフトが望ましい。しかし,左葉グラフトは右葉グラフトより小さいため,GRWR 0.8%以上の基準を満たさないことが多い。そこで当科では,GRWRの下限を2007年12月から0.7%,09年4月から0.6%と段階的に低下させてきた。しかし,GRWR下限を低下させると,当然small-for-size syndromeの危険性が高まる。そこで,術中最終門脈圧を15mmHg以下に制御するようにした2)。その結果,GRWR下限を低下させても,特にsmall-for-size syndromeが増えることなく,GRWR 0.8%以上例とGRWR 0.8%以下例で移植後成績も有意差を認めなかった3)

【文献】

1) Iida T, et al:Transplantation. 2010;89(9): 1163-4.

2) Ogura Y, et al:Liver Transpl. 2010;16(6):718-28.

3) Kaido T, et al:Transplant Proc. 2011;43(6): 2391-3.

【解説】

海道利実 京都大学肝胆膵・移植外科准教授

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