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社会医学から見た老齢介護の実態と課題

No.4940 (2018年12月29日発行) P.53

谷 直人 (大阪市立大学法医学)

石川隆紀 (大阪市立大学法医学教授)

登録日: 2018-12-26

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【高齢者医療の実態と問題点を社会医学的観点から明らかにする】

少子高齢化による高齢者の介護問題が深刻化している。介護者の死亡に伴い,介護者に依存していた被介護者が死亡する例も発生しており,同居生活でありながら孤独死のような形で発見されることも報告されている。このような介護問題は,高齢者が高齢者を介護する,いわゆる「老老介護」の増加や高齢者が若年者の面倒を見る,いわゆる「老若介護」もその一因と考えられる。

これまでの報告1)では,介護者と被介護者の関係は,夫婦関係かつ老々関係が多く,労働実態としては介護者・被介護者ともに無職であることが多い。介護者が先に死亡し,あとから被介護者が死亡する例も多く,死後1週間以上経過して発見される例もある。

介護サービス利用者は,介護者,被介護者ともに少なく,経済的負担に伴う介護サービスの利用率低下が高齢者介護に悪影響を与えているものと考えられる。高齢者自身の病気の悪化などから自殺や心中に至るケースも報告されており,経済的要因に加えて,疾病などによる身体的要因がさらに高齢者を孤立させ,社会的要因として介護者および被介護者の両者に影響を及ぼしているものと考えられる。高齢者の関係する介護では,地域社会との関わりを増やすこと,経済的支援に伴う介護サービス提供,疾患予防による介護者への身体的・精神的負担軽減に取り組むことが重要である。

【文献】

1) 谷 直人, 他:法医病理. 2017;23(1):21-7.

【解説】

谷 直人,石川隆紀 大阪市立大学法医学 *教授

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