2019年1月からの算定凍結が決まった「妊婦加算」について、日本医師会の横倉義武会長は12月19日の定例会見で、「名称を含め、国民に誤解を与えかねない部分があった」と述べた。診療報酬点数の取扱いが政治主導の形で決まった点については「2度と同じことが起こってはならない」との認識を示した。
妊婦加算は、妊娠中の女性に対する丁寧な診療を評価する観点から、18年度診療報酬改定で新設された。しかし、SNS上を中心に「加算の説明が十分なされずに算定された」「少子化対策に逆行している」などと批判の声が強まっていたことを受け、与党が問題視。与党内の議論を踏まえ、根本匠厚生労働相が12月19日の中央社会保険医療協議会総会に算定凍結を諮問し、19年1月から「厚労相が定める日」までの凍結が決定された。今後、厚労省は有識者会議を設置し、妊婦に対する医療提供のあり方を検討する。
会見で横倉氏は、妊婦加算について「点数設定の段階から国民の理解を得られるようにしておくべきだった」と顧みつつ、「加算の1つ1つの意味づけに理解を得ていくのは大変だ」とも指摘。「今回も本来であれば、(加算の新設ではなく)初・再診料を引き上げるほうが良かったと思っている」と述べた。また、小児・周産期医療の自己負担軽減に向けては、自治体による独自の支援の拡充を要望していく考えも表明した。
中医協委員の松本吉郎常任理事は「今でも加算の趣旨は良いものだと思っている」とした上で、有識者会議で「加算の趣旨を反映できるよう努めていく」と強調した。
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