2018年度から財政運営が市町村単位から都道府県単位へ広域化された国民健康保険(国保)制度について、厚生労働省は21日、保険料の動向を取りまとめた結果を公表した。全1735市町村のうち、18年度の保険料率を17年度より引き下げたのは496市町村(29%)、据え置き(変更なし)は836市町村(48%)だった。403市町村(23%)では保険料率を引き上げた。
国保財政は、市町村一般会計からの繰入金(補塡)を除いた「実質収支」の赤字が慢性化している。政府は18年4月、国保の財政運営を都道府県へ移管する改革を実施。併せて国費による支援金も2倍に増額した。保険料率の引下げは財政基盤の安定化による効果とみられる。
一方、保険料率を引き上げた403市町村のうち、1人当たり保険料額の増加幅が医療費自然増の全国平均(3%)を超えていたのは242市町村で、うち約7割に当たる156市町村では前回の引上げから3年以上が経過していた。引上げ判断の根拠について厚労省は、国保改革の影響だけでなく、長年据え置いてきたが改革を機に引き上げたケースなど「様々な要因が考えられる」としている。