【わが国における種々の核医学検査の臨床応用】
レビー小体型認知症(dementia with lewy bodies:DLB)は,神経変性による認知症の中でアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD)についで2番目に多いとされ,認知機能の変動,幻視,レム睡眠行動障害,パーキンソニズムを主症状とする。2017年にDLBの臨床診断基準が改訂され,画像検査を中心としたバイオマーカーがより重要視されるようになった。
DLBでは後頭葉の機能障害が報告され,治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬を使用すると,幻視の改善に伴い脳血流SPECT検査での後頭葉の血流の改善が認められる1)。近年,ADと比較しDLBでは,中部~後部帯状回の糖代謝が保たれる所見(cingulate island sign)が注目され,脳血流SPECT検査を用いても,ADとDLBを80%の精度で鑑別できると報告された2)。わが国でも,13年よりドパミントランスポーターシンチグラフィが施行可能となり有用であるほか,今回の臨床診断基準改訂では,123I-MIBG心筋シンチグラフィも中核をなす検査として評価されることとなった。これらの検査を用いることで診断精度が向上するため,診断に難渋するDLBの診断や治療方針の決定に有効である。
【文献】
1) Mori T, et al:Neurology. 2006;66(6):935-7.
2) Imabayashi E, et al:EJNMMI Res. 2016;6(1): 67.
【解説】
吉田 卓 愛媛大学医学部附属病院精神科