全国保険医団体連合会(保団連)は20日、昨年12月に政府・与党が取りまとめた2019年度税制改正大綱について、医療機関における控除対象外消費税問題の抜本的な解決には「程遠い」とする声明を公表した。問題の解決には、医療機関と患者の双方に消費税負担をさせることのない「ゼロ税率」の適用以外にないと強調している。
19年度大綱では、控除対象外消費税(いわゆる損税)に関して、診療報酬の配点方法の精緻化により、医療機関種別の補塡のバラツキが「是正される」と明記。今年10月に予定される増税後も、実際の補塡状況を継続的に調査し、必要に応じて配点方法の見直しを行うことにも言及した。高額医療機器などを対象とした特別償却制度の拡充・見直しなども盛り込んだ。
保団連の声明では、大綱のこれらの記述について「医療機関の損税負担に一定の配慮を示してはいる」とする一方で、個別医療機関に生じている損税を完全に補塡するものとはなりえないと指摘。配点方法の精緻化を図るにしてもバラツキの発生は避けられず、「医療機関間の分断を招じかねない」との懸念を示した。
さらに、「診療報酬による補塡の限界」との認識で一致した中央社会保険医療協議会の分科会の議論や、大綱に対する病院団体幹部の見解、自民党税制調査会の宮澤洋一会長の発言などを紹介した上で、「形だけの『非課税』を維持したままでは、損税の解消はできないことが共通認識となっていることは明瞭」とし、ゼロ税率適用の検討を訴えた。個別医療機関の損税をさらに拡大させる恐れがあるとして、消費増税の中止も求めている。