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マイコプラズマのマクロライド耐性は臨床上どの程度気をつける必要があるのか?

No.4945 (2019年02月02日発行) P.55

荒岡秀樹 (虎の門病院臨床感染症科医長)

倉井大輔 (杏林大学医学部付属病院感染症科准教授)

登録日: 2019-02-03

最終更新日: 2019-01-29

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  • 近年,マクロライド耐性マイコプラズマについての報告を多く見かけます。臨床現場でどの程度気をつける必要があるのでしょうか。抗菌薬選択について,マクロライド系抗菌薬,テトラサイクリン系抗菌薬,キノロン系抗菌薬の使いわけはどのようにすべきなのでしょうか。また,in vitroのマクロライド耐性とその臨床効果の相関については知見が蓄積されているのでしょうか。杏林大学・倉井大輔先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    荒岡秀樹 虎の門病院臨床感染症科医長


    【回答】

    【48~72時間以内に臨床的な改善がない場合に耐性を疑う】

    肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae:Mp)は,上・下気道感染を起こし,小児~若年成人では市中肺炎の主要原因となります。Mp肺炎の病態機序は,Mpが産生する過酸化水素などによる直接的な気道上皮障害と,ホストの過剰な免疫応答による間接的な反応の両者が影響しています。

    マクロライド系抗菌薬がMp肺炎の標準的な抗菌薬で,細胞壁を有しないMpには,βラクタム系抗菌薬は無効です。マクロライド系抗菌薬は,細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し,蛋白合成を阻害し抗菌効果を示します。このリボソーム50Sサブユニット中の23S rRNA遺伝子内の一部の点変異が起こると立体構造が変化し,マクロライド耐性Mpとなります。

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