【早期発見・治療,予防・再発防止のため,家族,監督が重要性を理解することが必要】
腰椎分離症の発生率は一般日本人で約6%,スポーツ選手では15~40%に認めると言われている。好発年齢は12~17歳,特に男子に多い特徴があり,中高生が9割を占めている。そのため,学童期での分離症発生率は低いとされていた。しかし,近年の調査では,腰椎分離症の3割が学童期発生であり,成長期スパートの早い女子が1/3以上を占めていたと報告されている1)。
腰痛で受診した小学生の半数は分離症であったという報告もあるため2),学童期においても分離症の診断は重要となる。診断にはX線斜位像やCTが有用であるが,MRIのT2脂肪抑制像やSTIRでの椎弓根内の骨髄浮腫像が早期発見の手がかりとなる。
学童期の分離部の問題点は,片側受傷時に対側が偽関節になっている割合が多く,潜在性二分脊椎の合併が多いことなど,骨癒合阻害因子を抱えている可能性がある点,また,終末期分離症の完成が二次骨化核出現前では,約80%で将来すべりを生じる点である。
学童期の腰椎分離症は早期発見と治療が必要となる。予防と再発防止も重要となる。そのためには患者家族,監督に疾患に対する重要性を理解してもらい,治療を継続すること,特に体幹の柔軟性を獲得するために,ハムストリングや大腿四頭筋などのストレッチの継続が必要となる。
【文献】
1) 塚越祐太, 他:日臨スポーツ医会誌. 2018;26(1): 115-20.
2) 家里典幸, 他:日整外スポーツ医会誌. 2016;36(1): 8-11.
【解説】
喜安克仁 高知大学整形外科