現在,ラジオ波焼灼術およびマイクロ波焼灼術は,肝臓の悪性腫瘍のみ保険収載となっています。また,凍結療法は切除不能の小径腎細胞癌のみが保険収載となっています。しかし,海外ではablationは肺腫瘍や甲状腺腫瘍,骨腫瘍,軟部組織腫瘍などについても実施されています。
保険適用拡大の見通しについて国立がん研究センター(前国立がん研究センター中央病院長/前日本IVR学会理事長)・荒井保明先生にお聞きしたいと思います。
【質問者】
椎名秀一朗 順天堂大学大学院医学研究科 画像診断・治療学講座教授
【今後,海外と同様に広い範囲で活用できる状況となるものと期待される】
ラジオ波焼灼術,マイクロ波焼灼術ならびに凍結療法などは,経皮的に針を刺入するだけで腫瘍組織の完全な死滅を狙える治療であり,腫瘍の摘出を行う外科的治療に比べ侵襲が少ないため,超高齢化が進むわが国の医療においても今後重要性を増すことが予測されます。そして,海外では既に様々な領域の腫瘍性病変の治療に活用されています。しかし,わが国では,現時点(2018年12月現在)で,ラジオ波焼灼術,マイクロ波焼灼術が肝悪性腫瘍に,凍結療法が小径腎癌に承認,保険収載されているのみであり,その使用範囲が海外に比べ大きく制限されています。
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