【子宮腫瘍の画像診断におけるDWIとADC mapの位置づけ】
子宮病変におけるMRI検査は,T2WIを中心に拡散強調像(diffusion weighted image:DWI)とapparent diffusion coefficiency(ADC) map,dynamic MRIが一般的となっている。
DWIは対象組織における水分子の拡散の制限,すなわち拡散障害をとらえ,その程度をADC値として定量化できる。これらは腫瘍の局在や深達度評価,質的診断に有用とされている。
一般的に子宮体癌は細胞密度が高く,拡散障害を示すことが多い。正常な子宮内膜がADC値1.45±0.25×10−3秒/mm2であるのに対し,内膜癌では0.88±0.19×10−3秒/mm2と低値を示し,有意差が認められた1)。子宮内膜・内腔病変の鑑別においてADC値のcut off値を1.15×10−3秒/mm2に設定すると,良性と悪性疾患とを判別できるとしている2)。ただし,両者に有意差がないとする報告3)もあり,ADC値は鑑別の一助となるというスタンスがよいように思われる。
DWIのピットフォールとして,DWIはT2WIをベースとした画像のため,もともと低信号域病変はDWIで高信号を示さず,ADC mapも低信号域を示す。この場合はT2 black outに相当し,拡散障害ととらえてはいけないことに留意する。
【文献】
1) Wang J, et al:J Comput Assist Tomogr. 2010; 34(3):332-7.
2) Fujii S, et al:Eur Radiol. 2008;18(2):384-9.
3) Davarpanah AH, et al:Abdom Radiol(NY). 2016; 41(12):2466-75.
【解説】
名川恵太 武蔵野赤十字病院放射線科