Don't image for suspected pulmonary embolism(PE)without moderate or high pre-test probability of PE.
(American College of Radiology:April 4, 2012)
肺血栓塞栓症の検査前確率が中等度以上でない患者に対しては,肺血栓塞栓症検索のための画像検査を行わないこと。
(米国放射線科専門医会:2012年4月4日)
急性肺血栓塞栓症(pulmonary embolism:PE)診断のための画像検査の第一選択は,禁忌(高度腎障害,ヨードアレルギーなど)がない限りは,造影CT検査である。肺換気・血流シンチグラフィも有用であるが,CT検査よりもアクセシビリティが低く,直ちに施行できる可能性が低い・塞栓子自体を描出できない・肺動脈以外の疾患の診断が困難であるという欠点により,特にわが国では造影CT検査が好まれる。
装置やソフトウェアの進歩により,最近では比較的低被ばくでの撮影が可能になったものの,PE診断のためのCT検査では5~10mSv程度の被ばくを伴う。また,ヨード造影剤に対する副作用のリスクもあり,無制限に行ってよい検査ではない。したがって,PEが疑わしい患者には確実に造影CTを施行して早期診断・治療をめざしつつも,疑わしくない患者には施行しないというchoosing wiselyが求められる検査である。しかしながらPEの症状は胸痛,呼吸困難など非特異的なものが多く,診断に苦慮することも多いため,PE検索のための造影CT検査は,施行閾値が下がりやすい検査のひとつとして知られている。
American College of Radiology以外に,American College of Emergency PhysiciansやAmerican College of Chest Physicians and American Thoracic Societyもchoosing wiselyのリストの中にPEの検査前確率が低い患者への画像検査を挙げている。
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