神奈川県保険医協会は12日、全国の医療機関を対象に実施したオンライン診療に関するアンケート調査の結果を公表した。2018年度診療報酬改定で新設された「オンライン診療料」の算定状況については、施設基準の届出をしたものの、算定実績のない施設が約6割に上った。
調査は昨年12月、オンライン診療料の施設基準を届け出ている全国の医療機関1054施設を対象に実施。無床診療所を中心に285施設(27.0%)が回答した。
オンライン診療料等の算定患者数(月当たり)を尋ねたところ、「0人」が53.7%(153施設)と過半を占めた。自由意見欄や欄外への記載内容を加味すると、オンライン診療を実施していない届出機関は全体の61.4%(175施設)となった。算定患者が1人以上いる施設における平均患者数は2.96人で、中央値は2.00人だった。
オンライン診療の改善点(複数回答)を聞いた設問では、保険診療の対象疾病拡大を望む声が5割弱に上り、「対面診療の補完」としてのみ実施が認められる原則を緩和してほしいとの声も2割強あった。一方で、「患者の要望が少ない」「対面診療の補完として行うべき」とする意見も2割強~3割強あった。また、施設によってオンライン診療の理解にバラツキがあり、有用性の評価も地域や患者の特性によって大きく異なることも分かった。
厚生労働省の検討会では「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を巡り、対面診療原則の例外として認める事例の拡大などが議論されている。これに対し、同協会は調査結果を踏まえ「拙速は禁物であり、安易なガイドラインの緩和には慎重であるべき」と主張している。