レビー小体型認知症(DLB)はアルツハイマー型認知症についで多い変性性認知症である
DLBとパーキンソン病(PD)はα-シヌクレイン蛋白の蓄積を主たる病態機序とし,臨床・病理学的に連続性を持つ
DLBの多くが見逃され,誤診されている可能性がある
変動を伴う動揺性の認知機能,繰り返し出現する幻視,特発性のパーキンソニズム,REM睡眠行動異常症(RBD)の4つが中核的臨床特徴である
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)は,病理学的には大脳皮質へのレビー小体(Lewy body:LB)の出現を特徴とする,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)についで多い変性性認知症である1)。1970年代後半に小阪らの報告により注目され,1995年に国際協議会は臨床および病理学的診断基準を提示した。診断基準は2005年,2017年に改訂がなされている。
病理学的には脳幹部に加え,扁桃体や大脳辺縁系皮質,さらに大脳新皮質の神経細胞内へのレビー小体の出現と,同部の神経細胞脱落を特徴とする。脳幹では,パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)と同様に,黒質や青斑核などでメラニンを含む神経細胞が脱落して,パーキンソニズムの原因となる。さらに,大脳では,海馬領域や扁桃体を含む大脳辺縁系を中心に神経細胞の脱落がみられ,認知機能障害の原因となる。レビー小体の主たる構成成分はα-シヌクレイン蛋白であり,α-シヌクレインの蓄積を主たる病態機序とする疾患として,レビー小体病(Lewy body disease:LBD)と多系統萎縮症を併せてシヌクレイノパチーと呼ばれる。
DLBは臨床的に,記憶障害は比較的軽く,注意障害や視覚認知障害が強いという認知障害の特徴や,幻視を中心とした幻覚,錯視,誤認妄想,REM睡眠行動異常(REM sleep behavior disorder:RBD)などの特徴的な行動異常,さらにパーキンソニズムや自律神経障害などがみられる。