急性副鼻腔炎は「急性に発症し,発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症であり,鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽といった呼吸器症状を呈し,頭痛,頰部痛,顔面圧迫感などを伴う疾患」と定義される。本疾患に対しては日本鼻科学会から国内外のエビデンスに基づいて「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」が発行され,2014年には一部改訂された追補版1)が刊行されている。本ガイドラインでは,起炎菌同定や画像診断,スコアリングによる重症度分類に基づいた治療を行うことが勧められており,詳細な治療アルゴリズムも提示されている。
急性副鼻腔炎は耳鼻咽喉科のみならず,一般内科診療においてもしばしば遭遇する疾患である。慢性を含めた副鼻腔炎病態は細菌性,真菌性,アレルギー性,好酸球性などに分類されるが,急性副鼻腔炎の多くは上気道ウイルス感染(急性鼻炎)に続発した,二次的な細菌感染である。診断は臨床症状,鼻内所見,画像検査,などによる。鼻腔粘膜の発赤・腫脹と中鼻道より膿性鼻汁の漏出をしばしば認め,顔面X線写真(Caldwell法,Waters法)では,罹患副鼻腔に膿汁貯留を伴う陰影を認める。
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