中央社会保険医療協議会総会は12日、2020年度診療報酬改定に向け、オンライン診療などICTの活用について議論した。厚生労働省は、オンライン診療を「対面診療の補完」とする原則は維持しつつ、普及状況の検証結果を踏まえて報酬上の対応を検討することを提案。また、都市部と離島・へき地では、対応を分けて考える必要があるとした。この方向性には診療側、支払側とも賛同したものの、「オンライン診療料」の要件緩和とオンライン服薬指導の推進を巡って両側の意見は大きく割れた。
12日の総会で、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会)は「疾病を抱えながら働ける環境を整備する手段としてオンライン診療やオンライン服薬指導があると考える」と表明。幸野庄司委員(健康保険組合連合会)は、オンライン診療料の算定要件が厳しすぎるために普及の足枷になっている可能性を指摘した上で、生活習慣病の治療を受ける勤労者の脱落防止効果にも期待を示しつつ「患者目線で緩和できるところは緩和すべき」と主張。さらに「オンラインの診療が認められて服薬指導が認められないはずはない」とし、積極的な推進を求めた。
一方、診療側の松本吉郎委員(日本医師会)は「患者が気兼ねなく対面診療を受けられる環境づくりが大事」とし、利便性のみに着目して要件を緩和すべきでないと強調。オンライン服薬指導についても、国家戦略特区の実証事業で蓄積されたデータが3月末時点で9人にすぎないことから「現時点でエビデンスはほとんどない。実施は最小限にとどめるべきだ」と拙速な推進論に釘を刺し、まずは在宅服薬指導の取り組み強化を行うべきだとした。