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■NEWS 給付と負担の国民的合意を得るため、議論の場の設置を―日医・横倉会長

No.4967 (2019年07月06日発行) P.66

登録日: 2019-06-24

最終更新日: 2019-06-24

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日本医師会の横倉義武会長は23日に開いた日医代議員会の冒頭に挨拶し、社会保障の給付と負担に関して国民的合意を導くために、議論の場を設ける必要性を訴えた。

横倉氏は、『医療は医学の社会的適用である』との故武見太郎氏(日医・世界医師会元会長)の言葉を紹介し、「ICTAI、再生医療、ゲノム医療など、医学における技術革新の恩恵は、これまで以上に多くの人々の健康や生命の維持増進に寄与するものと期待されている」と指摘。

一方で、「昨今の超高額医療技術の相次ぐ保険導入等をはじめとする医療費の増加が、保険財政に深刻な影響を及ぼすものと危ぶまれている」との認識を表明し、「全世代型の社会保障制度の持続可能性を高めていくためには、納得の得られる給付と負担を国民的合意として導き出すための議論の場を用意し、そこでの議論を通じて必要な財源を確保していかなければならない」と訴えた。

さらに議論の場では、「『医療は社会的共通資本である』という認識を共有することが重要」と強調。経済学者の故宇沢弘文氏が提唱した「社会的共通資本」としての医療について横倉氏は、「全ての人々が、経済的、社会的条件にかかわらず、その時社会が提供できる最高の医療を受けることができるような制度的、社会的、財政的条件が用意されている状況」と説明した。

その上で、「わが国における経済成長の鈍化や著しい少子化の進展等は、医療・介護を制度として支えるために必要な財源と人的資源の双方に深刻な影響を与えている」との危機感を改めて示し、「そうした状況下で、いかに人々の幸福に資する制度をつくり上げていくかが、今、問われている」と述べた。

「医療は社会的共通資本である」と強調する日本医師会の横倉義武会長

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