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■NEWS 医師の働き方改革、資金的・人的支援を国に要望する考え―日医

No.4967 (2019年07月06日発行) P.67

登録日: 2019-06-25

最終更新日: 2019-06-25

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日本医師会が23日に開いた日医代議員会で、医師の働き方改革に関する質問が相次いだ。医療機関に対する支援について日医は、診療報酬をはじめ、さまざまな資金的、人的支援を国に要望していく考えを説明した。

長島氏「中医協で診療報酬上の手当てを検討するよう要請」

加藤智栄氏(山口)は、医師の働き方改革推進と医師の地域偏在、診療科偏在の解決を目的として「医師個人への診療報酬上のインセンティブ」「救急車の有料化」を日医執行部に提言した。

長島公之常任理事は、公的医療保険制度に基づく診療報酬は医療機関に対し支払われる仕組みのため、診療報酬を医師個人に直結させるのは制度上困難だと回答。その上で日医が講じる対策として、「5月の中央社会保険医療協議会で、医師事務作業補助体制加算の拡大や診療以外の業務負担の効率化・合理化を求め、地域医療を支えている中小の民間医療機関の現状に即した診療報酬上の手当てという視点で検討するよう要請した」と紹介した。長島氏は今後、「医療機関へのさまざまな資金的、人的支援も国に要望していく」との考えを示した。また、医師個人へのインセンティブという観点からは医療機関経営者による勤務医の勤務環境管理や健康管理が重要だと指摘した。

救急車の有料化については、「最終手段」と明言。その前に進めるべき対策として、「子ども医療電話相談事業(#8000)」「救急安心センター事業(♯7119)」の更なる拡充と質の担保を挙げ、国に対し財源を強く求めていくとした。高齢者の救急搬送増加への対応としては、「かかりつけ医機能の推進と各地域における在宅患者の搬送受入体制づくりを含めた地域包括ケアシステム構築の支援を行う」との姿勢を見せた。

松本氏「医師の働き方改革はコストがかかり、一定の財源が必要」

松山正春氏(岡山)は、医療勤務環境改善支援センター事業で勤務環境改善に携わる人材の育成予算が計上できないなどの課題解決策や同事業の意義、都道府県医師会が同事業を行う意義について質問。松本吉郎常任理事は、会内の「医師の働き方改革検討委員会」の答申を踏まえ、勤務環境改善の取り組みを評価する診療報酬上の加算については「勤務環境改善に携わる人材の確保を加算等で担保することが考えられる」とした。

松本氏は「医師の働き方改革は国民の医療安全に資する。どのような改革をしてもコストはかかり、一定の財源が必要」と強調。診療報酬上で可能な取り組みについて引き続き検討するとした。

また、医療機関管理者である医師への啓発は特に重要だと指摘。厚労省に対し、病院長向けトップマネジメント研修に対する来年度予算概算要求について本年度予算額(4800万円)の3倍強の増額を要望したと述べた。

医療勤務環境改善支援センター事業の意義や同事業を都道府県医師会が担う意義については、「医療の持続可能性を高めるためにも環境改善は急務」と強調。これまで不十分だった医師の勤務時間の管理を支援する役割を担うセンターの意義は大きいとした。その上で、「県医師会の理解と協力があってこそはじめて成り立つ」との考えを表明。さらに、都道府県医師会はすでに関係団体と連携し、全域に地区医師会の活動基盤があることから「効果的にこの事業が浸透しやすく、組織連携の要として推進的役割と責任を果たせると確信している」との期待を示した。

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