日本医師会の松本吉郎常任理事は3日の会見で、医師等の宿日直許可基準と研鑽の取扱いを示した厚生労働省労働基準局長通知について、医師の労働時間管理における考え方や判断基準を「医師の活動の実態を踏まえて明確化、現代化したもの」との見解を述べた。
7月1日付で発出された通知では、医師・看護師等の宿日直の許可対象である「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務」の例示を、現代の医療水準に見合うよう約70年ぶりに見直した。医師が所定労働時間外に行う研鑽については、3つの類型ごとに労働時間該当性の判断基準を示した。研鑽を行うに当たっての環境整備では、▶本人が事前に申告し上司が確認する、▶通常勤務と研鑽を切り分ける、▶院内の手続きを書面で明確化する―などを求めている。通知の発出を受け、都道府県の労働部局、都道府県医師会、医療勤務環境改善支援センターの共催による説明会が各地で予定されている。
会見で松本氏は、宿日直に関する通知について、許可対象の例示の“現代化”以外のポイントとして「所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って許可を与えることができるものであると明記されたこと」を挙げた。
研鑽を巡る労務管理では、各医療機関における院内ルールの明確化が重要になるとの見方を示した。通知に示された勤務環境を実現するには医師の増員が必要となるケースも想定されるが、松本氏は「その恐れは十分にあると思う」としつつ、院内のルールづくりとそれに基づくマネジメントの必要性を改めて強調した。