厚生労働省はこのほど、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を改訂した。アレルギー対応は、かかりつけ医が記入する「生活管理指導表」に沿って実施することを必須とし、指導表を「子どもを中心に据えた、医師と保護者、保育所の重要な“コミュニケーションツール”」と位置づけた。疾患ごとの「病型・治療」や「生活上の留意点」に関する記載も充実された。
同ガイドラインの改訂は8年ぶり。2018年4月に適用された「改定保育所保育指針」では、食物アレルギーに関して、関係機関と連携して安全な環境の整備を行うことなどが明示された。さらに、アレルギー疾患対策基本法など関係法令の整備や知見の蓄積も踏まえ、厚労省検討会での議論を経て、大幅な改訂が施された。
改訂版では、従来の5章立て構成を「基本編」「実践編」の2編に再編。各項の冒頭に要点を示し、医療の専門家でない保育士が活用しやすい形とした。
基本編では、①保育所におけるアレルギー対応の基本、②アレルギー対策の実施体制、③食物アレルギーへの対応─について解説。従来版に比べ、医療関係者・行政の役割と連携に関する記述が拡充され、保育所嘱託医とかかりつけ医にも最新のアレルギー疾患対策の知識の把握を求めている。
食物アレルギーへの対応における食物除去は、誤食防止の観点から「完全除去」を基本とし、初めて食べる食品は「家庭で安全に食べられることを確認してから保育所で提供を開始する」とした。除去解除の際には、生活管理指導表や診断書の提出は求めないものの、医師の指示に基づき、保護者と保育所の間で除去解除申請書をもって対応するとした。
なお、ガイドラインの関連資料として、生活管理指導表、緊急時個別対応表のほかに、除去解除申請書の参考様式が付属している。
実践編では、代表的なアレルギー疾患ごとに、原因・症状などを解説した上で、生活管理指導表に基づく対応策を示している。例えば、アトピー性皮膚炎については、保湿剤等によるスキンケアの最新情報が反映された。また、食物アレルギー・アナフィラキシーの「病型・治療」欄では、医師が記載した内容について「保育所から保護者に対し、関連する検査結果を求める必要はない」と明記している。
ガイドライン全文や各種様式は、厚労省の「保育関係」のページで閲覧・入手できる。