抗菌薬「セファゾリン」の供給が低下している問題で、厚生労働省は17日、セファゾリンと代替薬を医療機関の間で融通する枠組みを構築することを決めた。近く、通知する予定。
厚労省によると、2018年末頃に、セファゾリン後発品メーカーである日医工において、セファゾリン原薬の輸入先である海外企業における異物混入、原薬出発物質の製造停止等が重なり、セファゾリンの生産に支障が発生。今年2月に日医工が供給停止を発表した。日医工では、今年秋頃の生産再開、秋の終わりから年末の供給再開を予定している。
この問題を受けて厚労省は、セファゾリンと代替薬の出荷状況・出荷予定を調査。その結果、日医工におけるセファゾリン供給停止を加味しても、今年のセファゾリンと代替薬の出荷総量は昨年を上回るペースであることが分かった。
医療機関に対する調査では、回答した医療機関の1%程度で手術の延期や転院などの影響が生じていたことが判明。また、セファゾリンと代替薬の入手しやすさに差があることも分かった。そのため厚労省は、短期的対策と長期的対策を実施する方針を17日の厚生科学審議会感染症部会に提案し、了承された。
短期的対策としては、セファゾリンの供給再開までの間、手術や治療が実施できない医療機関が発生しないよう、「医療機関の理解・自発的協力、メーカー・卸の協力のもと、セファゾリンと代替薬を互いに融通するよう呼びかける」とした。具体的な融通の枠組みについては、今後、医師会や関係学会と相談の上で決定し、早期に通知するとしている。
長期的対策としては、臨床・公衆衛生上、重要な抗菌薬の供給が低下することがないように、複数の抗菌薬について、サプライチェーン(原料の段階から製品が消費者に届くまでのプロセス)に関して情報収集をしていく。情報収集する抗菌薬の種類等の詳細は今後、省内で検討するとしている。