肝門部領域胆管癌は外科切除が唯一,根治の望める治療である
「胆道癌診療ガイドライン」では,明らかな遠隔転移を伴う肝門部領域胆管癌では切除適応なしとしている
局所進行肝門部領域胆管癌の切除可能か否かについては明らかなコンセンサスはなく,施設間で外科切除の適応が異なる
肝門部領域胆管癌が疑われる黄疸症例に対しては,胆道ドレナージ前にmultidetector-row computed tomography(MDCT)を施行し,がんの進展範囲を診断することで,治癒切除率が向上する
切除不能と診断された局所進行肝門部領域胆管癌に対しては,downsizing chemotherapyを施行することにより,切除可能となる症例がある
肝門部領域胆管癌1)に対しては,外科切除が唯一根治の望める治療法であるため,外科切除の可能性を追求する姿勢で診断・治療にのぞむ必要がある(図1)。しかし,肝門部領域胆管癌は,診断された時点で切除不能である症例も多く,いまだ外科切除率は十分高いとはいえない。また,切除しえたとしても,その解剖学的特性から,非治癒切除(R1切除)に終わることも少なくない2)~6)。
本稿では,「胆道癌診療ガイドライン」に基づいて,肝門部領域胆管癌の外科切除の適応とその限界について述べるとともに,当施設での肝門部領域胆管癌の外科切除の適応拡大と,さらには治癒切除率の向上の取り組みに関して概説する。