痤瘡(にきび)は,毛包脂腺系皮膚付属器を病態反応の主座とする慢性炎症性疾患である。尋常性痤瘡は,思春期のアンドロゲン分泌亢進に呼応した毛包脂腺系の増殖・増大に伴い発症し,思春期以降に慢性持続性に推移する。尋常性痤瘡は,脂腺性毛包の豊富な顔面,胸部,上背部に好発し,面皰から始まり,丘疹・膿疱を伴う炎症性皮疹へと移行する。尋常性痤瘡は思春期・青年の顔面に好発するため,QOLの低下に直結する疾患である。
痤瘡は思春期頃から30歳代ぐらいに好発し,脂腺性毛包の豊富な顔面,胸部や上背部に,面皰(角栓と軽度の皮膚隆起性変化)や丘疹・膿疱を伴う炎症性皮疹が混在する。炎症性皮疹の軽快後に炎症後紅斑,炎症後色素沈着,萎縮性瘢痕,肥厚性瘢痕・ケロイドをきたすこともある。皮下囊腫,集簇性痤瘡(皮下で炎症病変が連続する)に伴って皮下瘻孔を形成することもある。
「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」に則って治療を行う1)。痤瘡初期病変である面皰の抑制を主体とした治療を継続することが痤瘡治療の基本である。面皰治療を併用しない抗菌薬のみの治療は決して行わない。クリニック受診時には炎症性皮疹を伴っている患者が多いので,炎症性皮疹を抑制する抗菌薬を適宜併用する。耐性菌の誘発を避けるために,抗菌薬の併用は原則3カ月以内にとどめる。スキンケア・生活指導は薬物療法とともに重要であり,洗顔方法などの確認を行う。思春期の脂性肌の患者には,朝と夕の1日2回の洗顔を推奨する。
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