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【書評】専門以外の疾患の最新治療法もすぐ確認できる臨床医必携の一冊

No.4976 (2019年09月07日発行) P.38

望月紘一 (日本臨床内科医会会長)

登録日: 2019-09-06

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30年以上前から愛読し、臨床医学的な知識だけでなく、厚労省、医師会、医学会関係の情報を得てきた「週刊日本医事新報」であるが、最近「私の治療」という新しい頁が加わったことに気づいていた。それがこのたび、2019-20年度版としてA5判・1568頁の書籍として発刊された。

手にしてまず驚かされることは、取り上げられた疾患・病態の数の多いことである。1361名という多数の専門家が執筆しているが、それぞれがガイドライン等の治療指針に準拠した上で、執筆者自身が臨床上、最適と考えている治療法が記載されている。我々日本臨床内科医会も過去に『内科診療実践マニュアル』『日常的内科疾患の実践的処方集』などを編纂・発行しているが、そこで取り上げた疾患数はおよそ120疾患である。本書の1166疾患という数は、内科疾患だけでなく全科の疾患が取り上げられていることもあるが、まさに圧倒的である。

我々実地診療に携わっている内科医にとって、内科疾患に関する専門家の治療法を知ることができることはきわめて興味深く、治療・処方の流れが【一手目】、【二手目】としてまとめられていると、さながら、研修医であった頃、教授の外来診療に陪診として後ろについて、いろいろと個性ある患者への説明を聴いているような懐かしい感じである。

内科疾患だけでなく、手術が主たる治療法である他科の疾患も多数解説されている。これは、通院している患者が他科で手術等の治療を受けることになった時の対応にきわめて重宝である。急速な進歩を遂げているであろう他科疾患の治療法の新知識を得ることは、必ずしも容易でない点を考えると、この書の有り難さがわかる。

日常診療の現場に備えて、自分の専門とする領域以外の内科疾患、多くの他科の疾患の最近の治療法をすぐ確認できる本書は、臨床医に必携の一冊である。

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