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⑨細菌:ハンセン病[特集:わが国で注意が必要な“熱帯病”]

No.4976 (2019年09月07日発行) P.36

四津里英 (長崎大学大学院熱帯医学グローバルヘルス研究科)

登録日: 2019-09-09

最終更新日: 2019-09-04

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【日本での流行予測】

 

【ワクチン】


1 世界の発生動向

世界のハンセン病の新規発症患者数は,1985年には55万人(推測),治療薬の無償配布が開始となった1990年代には,患者の早期発見のための活動が盛んであったため,約80万人のピークを迎え,その後,徐々に減少傾向であった。2006年頃より年間約20~25万人とほぼ一定で推移している。その約半数のおよそ12~13万人がインドからの報告で,次いで,ブラジルの2.5~3.8万人,インドネシアの1.5~1.7万人である。1000人以上の新規発症があるとされる国は,この他計11カ国ある。

わが国での報告例(年間の新規発症患者数約3~5人)は,ほとんどがこれら蔓延地域からの輸入例である。

2 媒介生物

未治療のMycobacterium(M.)leprae保有者の鼻汁や組織滲出液との濃厚接触が,乳幼児期にあった場合に感染するとされる。また,M. leprae自体は感染力の非常に弱い菌であるため,菌に感染をしただけで発症をすることはなく,個々人のM. lepraeに対する特異的細胞性免疫能の発達もその発症に大きく関与するとして知られる。

免疫能の強弱によって病像に差がみられ,病型(WHO分類:少菌型/多菌型,Ridley-Jopling分類:類結核型/らい腫型/境界群,等)として分類される。家族内での発症が,ときに認められるため,患者を診断した際には家族あるいは接触者検診を実施し,早期診断・早期治療につなぐことが重要である。

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