【質問者】
鈴木広道 筑波メディカルセンター病院感染症内科・臨床検査医学科診療科長
【OPATが真に必要な症例を見極めて,実施前には必ず適切な培養検査の提出を】
OPAT(オーパット)はoutpatient parenteral antimicrobial therapyの略で,外来静注抗菌薬療法と訳されます。外来診療でセフトリアキソンを使用するのもOPATのひとつです。わが国ではOPATという用語や概念があまり浸透していませんが,本来は単に外来で静注抗菌薬を投与することではなく,静注抗菌薬でしか有効な治療を行えない状態かを判断し,そうであった場合に適切な抗菌薬,治療期間を考え,治療効果をモニターしながら治療を行うという一連の治療戦略を意味します。
わが国では,患者自身が抗菌薬の注射を行うことや,特殊なポンプを使用することは稀なので,1日1回投与が可能な静注抗菌薬を用いるのが一般的です。セフトリアキソンが使用されることがほとんどだと思いますが,1日1回投与法のアミノグリコシド(ゲンタマイシン,トブラマイシン等)が用いられることもあります。具体的には,入院を回避したい場面で,培養結果が判明するまでの肺炎や腎盂腎炎の治療に利用されることが最も多いのではないかと思います。
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