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外来静注抗菌薬療法(OPAT)の適正利用について

No.4979 (2019年09月28日発行) P.59

鈴木広道 (筑波メディカルセンター病院感染症内科・臨床検査医学科診療科長)

馳 亮太 (成田赤十字病院感染症科部長)

登録日: 2019-09-30

最終更新日: 2019-09-24

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  • 長期入院は,認知能低下,活動性の低下のみならず,院内感染のリスクがあります。感染症治療では,疾病により長期の経静脈的な抗菌薬投与が必要となる場合があります。近年,1日1回を超える経静脈的な抗菌薬投与が必要な場合に対して,外来静注抗菌薬療法(outpatient parenteral antimicrobial therapy:OPAT)が注目されています。どのように使用していけばよいのでしょうか。成田赤十字病院・馳 亮太先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    鈴木広道 筑波メディカルセンター病院感染症内科・臨床検査医学科診療科長

    【OPATが真に必要な症例を見極めて,実施前には必ず適切な培養検査の提出を】

    OPAT(オーパット)はoutpatient parenteral antimicrobial therapyの略で,外来静注抗菌薬療法と訳されます。外来診療でセフトリアキソンを使用するのもOPATのひとつです。わが国ではOPATという用語や概念があまり浸透していませんが,本来は単に外来で静注抗菌薬を投与することではなく,静注抗菌薬でしか有効な治療を行えない状態かを判断し,そうであった場合に適切な抗菌薬,治療期間を考え,治療効果をモニターしながら治療を行うという一連の治療戦略を意味します。

    わが国では,患者自身が抗菌薬の注射を行うことや,特殊なポンプを使用することは稀なので,1日1回投与が可能な静注抗菌薬を用いるのが一般的です。セフトリアキソンが使用されることがほとんどだと思いますが,1日1回投与法のアミノグリコシド(ゲンタマイシン,トブラマイシン等)が用いられることもあります。具体的には,入院を回避したい場面で,培養結果が判明するまでの肺炎や腎盂腎炎の治療に利用されることが最も多いのではないかと思います。

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