中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会は10月18日、2018年度診療報酬改定の影響を分析した調査結果(19年度調査速報)について、診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会から報告を受けた。このなかで、旧「7対1一般病棟入院基本料」から「急性期一般入院料2、3」への転換が当初の想定ほど進んでいない現状が明らかになったことから、診療側はこれら入院料でも「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)I」の届出を可能にすることを提案。支払側は、累次の改定でDPCデータ届出病棟を拡大してきたこれまでの流れに反するとして、反対姿勢を示した。
18年度改定で、看護配置7対1病棟から10対1病棟への移行を促す中間評価として新設された、「急性期一般入院料2、3」は、該当患者割合の判定に「看護必要度II」(DPCデータを用いた判定)を採用することが原則とされている。同日報告された調査結果によると、改定前に「7対1一般病棟入院基本料」を届出ていた病棟の19年6月1日現在の状況では、93.5%が引き続き7対1相当の「急性期一般入院料1」を届出。10対1相当の「入院料2」の届出は3.2%、「入院料3」は0.2%にとどまったが、18年11月1日時点と比べると、「入院料1」は3ポイント減少、「入院料2」は0.6ポイント増加していた。
報告を受けて診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「急性期一般入院料2、3も看護必要度I・IIのどちらも対応可能とした方が選択肢が広がり、進むべき方向に進むのではないか」と提案したが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「DPCデータの提出を拡大してきた経緯も踏まえて、看護必要度IIを精緻化し、IIに集約していくべきだ」と反論した。
幸野委員はさらに、「急性期一般入院料」の届出施設の該当患者割合の平均値が、看護必要度Iで34.8%(基準値30%)、IIで30.6%(同25%)と、いずれも基準値を上回っている点に注目。「基準値から上振れしているのは、前回改定時のB、C項目の見直しで4%程度の増加を見込んで支払側が入院料1の基準を34%にすべきだと主張したのに、公益裁定で30%に低く抑えられたのが原因だ」と不満を示し、「さらなる基準の見直しが必要だ」と該当患者割合の引き上げも視野に入れた議論を促した。
これに対して松本委員は、「医療の現場を平均値で考えてもらっては困る。35%くらいのところで余裕を持っていないと維持できない」と述べ、ある程度バッファーを持たせなければ基準を充足できない医療機関が出てくると懸念。現在の基準値が妥当との認識を示した。