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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)[私の治療]

No.4985 (2019年11月09日発行) P.53

鹿間芳明 (神奈川県立こども医療センター感染免疫科・感染制御室医長)

登録日: 2019-11-06

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  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)は,ムンプスウイルスの感染によって発熱と唾液腺(通常耳下腺)の腫脹をきたす疾患である。ムンプスウイルス感染患者の約1/3は明らかな唾液腺腫脹がみられない不顕性感染と言われているが,年齢が高くなるほど症状が典型的になり,髄膜炎や難聴の合併頻度が高くなる。

    ▶診断のポイント

    通常16~18日(最大25日)の潜伏期間を経て,発熱と耳下腺や顎下腺の腫脹,疼痛を訴える。片側の耳下腺腫脹が生じて数日経ってから対側が腫脹することがあり,また,片側の腫脹だけで終わることもある。下顎角が触れにくくなること,すっぱいものを食べると痛みが増強すること等が耳下腺炎の診断に役立つ。

    流行期に急性耳下腺炎を認めた場合はムンプスである可能性が高いが,一方で急性耳下腺炎をきたすウイルスはムンプス以外にも数多くあり(コクサッキーウイルスやインフルエンザウイルスなど),流行期以外に急性耳下腺炎を認めた場合,ムンプスである可能性は低くなる。

    髄膜刺激症状は約10%でみられるが,髄液細胞数増多は約半数にみられ,髄液のRT-PCRを行うとほぼ全例でウイルス陽性となるという1)

    ムンプスでは通常,血中および尿中アミラーゼの上昇を認めるが,ムンプスに特異的な検査所見ではないことに注意する。

    検査診断は通常,ELISA法による特異IgMの測定によってなされるが,特異IgMがピークに達するのは発症から5日後である。また,ワクチン既接種例では特異IgMがほとんど上昇しないことがある。

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