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■NEWS データ提出加算、200床未満の回リハ5、6などでの要件化を─厚労省が提案

No.4989 (2019年12月07日発行) P.64

登録日: 2019-11-27

最終更新日: 2019-11-27

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厚生労働省は1122日の中央社会保険医療協議会・総会に、DPCデータの提出(「データ提出加算」の届出)の要件化対象入院料を許可病床数200床未満の「回復期リハビリテーション病棟入院料56」や「療養病棟入院基本料」にまで拡大する案を示した。規模の小さな医療機関を対象にした新たな経過措置を検討する方針だが、診療側は慎重な検討を促すとともに、少なくとも2年間の経過措置期間が必要との認識を示した。

厚労省の提案では、「急性期一般入院料27」と「回復期リハビリテーション病棟入院料14」は、許可病床数50床未満または1病棟のみの場合の経過措置を20203月末で終了。「回リハ病棟入院料56」と「療養病棟入院基本料」については、許可病床数200床未満に要件化対象を拡大。要件化対象病床数だけで200床未満の場合にデータ提出を猶予する現行の経過措置も終了させ、病床規模に関わらず、原則、データ提出を必須化する考えを打ち出した。

その一方で、中小病院に配慮した新たな経過措置を設ける。具体的には、▶許可病床数が200床未満の病院について、一定の経過措置を設ける、▶回リハ56または療養病棟の病床だけで200床未満の病院であって、電子カルテシステムが導入されていないなど、データの提出が困難な正当な理由がある場合は、「データ提出加算」の届出を行なっていない場合であっても、一定期間は該当する入院料を算定できる経過措置を設ける(病院全体の許可病床数が200床以上の場合も含む)―とした。

支払側は提案を了承したが、診療側は慎重な対応を求めた。松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、要件化対象病床が200床未満の場合などを対象にした現在の経過措置の終了は、「利用状況を見て判断するべきだ」と指摘。「許可病床数200床未満の医療機関は電子カルテの普及が遅れており、少なくとも2年間の経過措置が必要だ」とも述べた。

■療養病棟入院基本料の経過措置1は延長へ

この日は、「療養病棟入院基本料」の診療報酬上の経過措置期間の扱いも議論した。2つある経過措置のうち、看護職員配置251201を満たさない)または医療区分2・3該当患者割合50%以上を満たせない場合が対象の経過措置1に関しては、支払・診療側とも延長を了承。看護職員配置301の病棟が対象の経過措置2については、支払側が終了を求めたのに対して、診療側の松本委員は対象施設の意向を確認した上で、対応策を検討するべきだとの認識を示した。

このほか、入院医療の調査・評価分科会で問題になった中心静脈栄養と膀胱留置カテーテルを長期間使用している場合の対応では、▶医療区分の評価を行う際に中心静脈栄養の必要性の確認を求める、▶膀胱留置カテーテルの抜去に向けた取り組みを推進する観点から、「排尿自立指導料」の算定要件を見直す─ことなどが論点として提示された。

生活習慣病の重症化予防に関する議論では、「生活習慣病管理料」の算定要件見直しを中心に意見を交わした。厚労省のデータによると、国内の糖尿病網膜症患者は約100万人と推計され、糖尿病網膜症による失明は年間約3000人に上るという。また、「生活習慣病管理料」の算定要件では月1回以上の総合的な治療管理を求めているが、実際の患者の受診間隔は1カ月よりも長く、治療を中断した理由では、経済的負担を挙げる患者が一定数存在する。このため同省は、「生活習慣病管理料」の算定要件を、眼科の定期的受診の必要性や患者の受診頻度、治療の中断理由などを考慮して見直すことについて、総会に検討を求めた。

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