口腔内における炎症を指し,口唇や頰粘膜,舌や口腔底に潰瘍,びらんや白苔が生じる状態をいう。感染症に伴って生じることが多いが,自己免疫疾患,膠原病に伴うものや原因不明の病態もある。
問診,視診で口内炎と診断することは容易である。アフタ性口内炎など自然治癒するものもあるが,投薬治療を必要とすることも多い。経過が長く再発性や難治性の場合は精査が必要である。
口内炎は明確な原因が不明なアフタ性口内炎が多い。そのほかの原因としては,感染症や自己免疫疾患,膠原病,原因不明の疾患によるものがある1)。感染症によるものでは,ウイルスによるもの〔単純ヘルペス,帯状疱疹,麻疹,ヘルパンギーナ,epstein-barr(EB)ウイルスなど〕や細菌によるもの,真菌によるものが考えられている。アフタ性口内炎の場合は特別な治療を行わなくても治癒することが多いが,疼痛が強い場合は,硝酸銀による病変の焼灼,副腎皮質ステロイドの軟膏塗布や口腔内貼付薬を用いる。
ウイルス性口内炎はびらんや水疱形成を伴うことが多い。細菌性は,口腔内不衛生な場合や外傷などでできる口内炎で(カタル性口内炎ともいう),ペニシリンなどの抗菌薬処方を行う。また,免疫力低下などによってカンジダなどの真菌による口内炎には抗真菌薬の外用投与を行う。重症例では抗真菌薬の内服を行うこともある。治療に抵抗する場合には,自己免疫疾患や膠原病も考慮する。自己免疫疾患や膠原病で口内炎を引き起こす疾患としては,ベーチェット病,多発血管炎性肉芽腫症,クローン病,尋常性天疱瘡,類天疱瘡,扁平苔癬などが考えられ,口腔内病変以外の随伴所見がないか精査を行う。診断がつけば原疾患に基づく治療となる。
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