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■NEWS 二次救急患者の受け入れ多い医療機関の評価新設へ─中医協・総会

No.4990 (2019年12月14日発行) P.68

登録日: 2019-12-06

最終更新日: 2019-12-06

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中央社会保険医療協議会・総会は124日、救急医療や周産期医療などについて議論した。このなかで厚生労働省は、対象患者の基準が不明確などと指摘されていた「救急医療管理加算」の一部項目について重症度のスコアを記載することや、二次救急患者の受入数が多い医療機関を対象にした新たな評価の新設を提案。大筋で了承された。

「救急医療管理加算」の算定対象患者は、「加算1」が意識障害、心不全、ショックなど9項目(ア〜ケ)のいずれかの状態に該当する場合、「加算2」がア〜ケに準ずる重篤な状態にある場合と規定されている。これまでの総会の議論では、▷同加算は「入院時に重篤な状態の患者」に限って算定する報酬であるため、入院時は軽症や中等症であっても入院後に重症化する可能性がある患者では算定できない、▷算定対象患者の基準が不明瞭なために、算定患者の状態や該当・非該当の判断に施設間でばらつきが認められる─点などが問題視されていた。

■JCSNYHA心機能分類などの重症度スコアの記載を要請

こうした意見を踏まえ、厚労省は、一部項目で重症度のスコアの記載を求めることを対応策として提案した。診療側は医療機関の負担が増えることのないよう、既存指標の活用を求めており、例えば、「加算1」で意識障害・昏睡に該当する場合はJCSJapan Coma Scale)やGCSGlasgow Coma Scale)、心不全に該当する場合はNYHA心機能分類などのスコアの記載が想定される。「加算2」については、ア〜ケのどの項目に準じた状態であるかなどの記載を求めることになりそうだ。

議論では支払・診療側双方が、2022年度改定の際に改めて抜本的な見直しを検討する必要があるとの認識で一致した。診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、「この加算については非常に議論があるところで、今すぐに解決はできない。今回の改定ではなく、(次回改定に向けて)実態を把握して、どうあるべきかを早く議論してほしい」と要請。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も同様の考えを示した。

地域における救急医療体制の見直しと、医療従事者の働き方改革を推進する観点から、緊急入院が必要な二次救急患者を多く受け入れている医療機関を新たに評価する案も示された。救急搬送の受け入れが一部の施設に集中し、それら施設における医師の長時間労働が常態化しているためだ。厚労省のデータでは、年間の救急搬送受入件数1000件以上の施設が救急搬送全体の85%に対応。このうち年間受入2000件以上の施設では、週60時間以上の長時間労働をしている医師の割合が特に高いことが明らかになっている。提案に診療側委員は揃って賛意を表明、支払側からも異論は出なかった。

■「新生児特定集中治療室管理料1」の届出制限で賛否

周産期医療では、新生児集中治療室(NICU)の集約化への診療報酬での対応が論点になった。NICUの整備に関しては、全都道府県がすでに整備目標を達成。今後も出生率の低下が見込まれることから、医療計画の見直しに関する厚労省の検討会では現在、第8次医療計画の策定に向けてNICUを集約化・重点化する方向で議論が進んでいる。こうした動向を踏まえて厚労省は、「新生児特定集中治療室管理料1」の新規届出を制限することを提案した。支払側の一部委員は賛成し、一定の病床数以下の届出を制限する考えを示したが、診療側は反発。地域の実情を十分考慮した周産期医療提供体制の整備を進めていくべきで、診療報酬で一律に規制して誘導するのは好ましくないと主張した。

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