中央社会保険医療協議会・総会は12月13日、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」のB項目の評価基準を「患者の状態」と「介助の実施」に区分する方針を固めた。厚生労働省は、見直しによってADLを含む患者の状態が現在よりもわかりやすくなるうえ、看護師の業務負担軽減も期待できると説明している。同省はDPCデータの質を評価する「提出データ評価加算」について、許可病床数200床以上の施設は廃止、200床未満は未コード化傷病名の基準割合を5%に厳格化した上で、継続する案も示したが、診療側は現状維持を求めて反対している。
看護必要度のB項目は現在、患者の状態と看護職員などによる当日の介助の実施を掛け合わせた評価内容となっており、入院医療等の調査・評価分科会では患者の状態を正確に把握するのが困難との指摘が出ていた。こうした意見を踏まえ、次回改定では、B項目の「移乗」、「口腔清潔」、「食事摂取」、「衣服の着脱」の評価基準を、「患者の状態」(自立・一部介助・全介助)と「介助の実施」(実施なし・あり)に分けることにした。また、看護必要度の評価の手引きは、「評価の根拠」として同一の評価を導く根拠となる記録を残しておくよう求めているが、今回の見直しでB項目は記録を残す必要はなくなり、その分、看護師の業務負担が軽減される見通しだ。特定集中治療室用・ハイケアユニット用の評価票のB項目も、同様に見直す。
一方、「提出データ評価加算」は現在、未コード化傷病名の割合が10%未満であることが算定要件となっている。だが、厚労省のデータによると、未コード化傷病名の割合(平均値)は、200床以上の病院が3.15%であるのに対して、200床未満の病院は7.85%と、病床規模によって大きな開きがある。このため同省は200床以上の病院については、質の高いデータの提出を後押しする本来の役割を終えたとして、加算を廃止。許可病床数200床未満の病院は、次回改定で新たに「データ提出加算」の届出が要件化される入院料があることや、未コード化傷病名の割合が高いことを考慮し、評価基準を5%に引き下げて厳格化した上で、評価を継続することを提案した。
これに対して診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「200床未満病院の未コード化傷病名の割合にはばらつきがあり、5%は非常に厳しい」と指摘。猪口雄二委員(全日本病院協会会長)も「今回は動かさずに、(データ提出加算の要件化対象を200床未満に)広げた後のデータを見て、改めて検討してはどうか」と現状維持を求めた。
この日は特定機能病院の評価のあり方も議論。厚労省は、特定機能病院による「回復期リハビリテーション病棟入院料(以下、回リハ入院料)」の届出を不可とすることを提案したが、松本委員は、「方向性は理解するが、なぜ大学病院が看護配置の薄い入院料を算定しているのか、中身を見て考えるべきだ」と慎重姿勢を見せた。
特定機能病院の承認要件では、一般病棟の看護配置を3対1(診療報酬上の基準では10対1に相当)と定めており、提案の背景には、これよりも薄い人員配置の入院料の届出を認めるのは、高度な医療の提供を担う施設として適当ではないとの判断がある。なお、回リハ入院料同様、看護配置が承認要件以下の「地域包括ケア病棟入院料」の届出は、現行でも認められていない。
このほか、「使用ガイド付きの医薬品集(以下、医薬品集)」(いわゆるフォーミュラリー)を試行的に推進するとして、特定機能病院が医薬品集を作成・維持する体制を評価することも提案された。委員の意見は、医薬品集を今後広く普及していく必要性では一致しているものの、次回の診療報酬で評価することでは、支払・診療側それぞれのなかでも賛否が分かれ、委員の大勢が標準的な手順やルールを定める調査事業などを実施することが先決であり、診療報酬で評価するのは時期尚早だと反対した。