加藤勝信厚生労働大臣は1月15日、2020年度診療報酬改定について、中央社会保険医療協議会に諮問した。答申に当たっては、▶診療報酬改定率(本体0.55%増、薬価等マイナス1.01%)、▶救急病院の勤務医の働き方改革への特例的対応(本体の0.08%引き上げ相当分)、▶社会保障審議会医療保険部会・医療部会がまとめた診療報酬改定の基本方針─に基づいて審議するよう要請した。来週24日には医療機関や患者の意見を聴く公聴会の開催が予定されている。答申は2月上旬と見込まれ、公聴会後はいよいよ個別改定項目の点数設定に関する議論に入ることになる。
また、同日の総会では20年度改定に関するこれまでの議論の整理が了承され、厚生労働省のホームページでパブリックコメントの募集が始まった。1月10日、15日の2回にわたって議論されたもので、改定の基本方針の柱である▶医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進、▶患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、▶医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進、▶効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4項目に沿って、これまでの審議結果を記載した。
そのうち20年度改定の重点項目に位置付けられている医師などの働き方改革の推進では、過酷な労働環境にある地域の救急医療体制で重要な機能を担う医療機関を対象にした評価を新設。医師から他職種へのタスク・シフティングを推進するため、「医師事務作業補助体制加算」は要件と評価を見直すほか、「麻酔管理料(II)」は麻酔管理における診療補助行為の一部を特定行為研修修了看護師などが担うことを念頭に、実施者に関する要件を見直す。
外来医療の機能分化では、紹介状なしで大病院外来を受診した患者からの定額負担徴収を義務化する医療機関の対象を拡大。かかりつけ医機能を担う医療機関の評価では、▶「機能強化加算」の掲示などの情報提供に関する要件を見直し、かかりつけ医機能の一層の周知を図る、▶「地域包括診療加算」の要件を見直す、▶かかりつけ医が重複投薬の有無を確認し、他の医療機関との連絡・調整を行う取り組みに対する評価を新設―などを行う。
ICTの利活用では、「オンライン診療料」の実施方法や対象疾患に関する要件を見直すほか、希少疾病などで近隣の医療機関での診断が困難なケースについて、かかりつけ医の下で専門医によるオンライン診療を受ける「D to P with D」を対象にした評価を新設することが記載された。
なお、パブリックコメントの締め切りは1月22日。